擁 立
自民党代議士の間で話題になっているのは、党公認問題ではない。己の選挙区に共産党が候補者を出馬させるかどうか、についてだ。先の山口2区の補欠選挙では、共産党は候補者を立てなかった。で、共産党票の分、自民党候補が負けたのだ。だから、共産党が候補者を立てれば、その票は共産党に行き、まちがっても民主党へは行かないと思われている。
先日、仲の良かった共産党の元参院議員と会った。政治の場を離れたら、私たちは談笑し、人間として尊敬し合う間柄。私は意外に共産党議員とは仲がよいのである。私だけではない、二階派のベテラン組は、二階会長をはじめ共産党幹部とは人間的な信頼関係で結ばれている。
もちろん、政策や政治手法においては水と油、共闘することはないが、あくまでも人間的な交流にとどまる。私も同様の一員としてカウントされる。外国への視察旅行等では、いつも私は共産党議員とコンビを組んできた。で、共産党議員から陳情を受けることもある。
私は、絶対に差別したりしない人間。これは自信をもっていえる。共産党議員の陳情に対しては、より親切に接して対応させていただいてきた。議員は、いつも『赤旗』の記者を同行させるから、一部始終が報じられる可能性がある。『赤旗』には幾度もたたかれたけれど、陳情のおりにはきちんと書いてくれる。
で、地元の共産党員の一人は、「見直しました」といってくれたこともあったほどだ。共産党は民主党とちがって、国会の審議拒否をしないまじめな政党である。たとえ反対されようとも、自分たちの意見を堂々と述べる。それゆえに、共産党の評判は自民党内では高いことは、あまり知られていない。
久しぶりに会った共産党の元参院議員は、石井郁子副委員長と交代して衆院の近畿比例区で出馬するという。ということは、まちがいなく当選するから、余裕すら感じさせる。そして、私に教えてくれた。「大阪19区の松浪ハンの所にも共産党は候補者を決定しました。迷惑でっしゃろが、頑張っておくなぁはれ!」。これは私にとって、朗報である。2万票前後の共産党票が、まちがいなく民主党候補に行かなくなったからだ。
共産党は公費の政党助成金を辞退している。そのかわり、自民党よりも政治資金を集める実力をもつ。が、立候補者が規定の票を獲得できない場合、供託金を没収されるために、以前とちがって、全選挙区には候補者を出さないようにしたという。それで、私たちは心配していたのである。ともかく共産党候補者の出馬で選挙の構図が明確となってきた。
比例代表区で票を得るには、やはり小選挙区でも候補者を出した方が票が伸びるといわれる。その判断が、都市部の大阪で擁立することにしたのであろう。与党の側からいえば、これは本当に有難い現象なのである。共産党は小選挙区制度下では、比例区の当選しか見込めないだけに数万票の取れる選挙区では出馬させる方向にあるらしい。
共産党が元気を出すと、公明党は負けじと元気を出す。両党の対立は根が深く、どこの選挙区でも激闘を展開する。それは歴史的なもので、自民党の私たちと民主党の対立よりも厳しいものがある。水をあけて公明党がリードしているけれど、そのライバル関係は強烈であることはよく知られている。
衆院議員の任期は、あますところ1年2ヶ月。いつ総選挙に突入してもおかしくない状況下にあるだけに、私たちも臨戦下にある。代議士の宿命とはいえ、参院議員のごとく解散のない6年間がうらやましい。先の共産党の元参院議員は、落選してこのかた5年も浪人中、その根性は敬服すべきものがある。
で、私に問う。「いつ頃解散になりそうでっか?」。「任期満了とちがいまっか」と応えると、「そんなこといわんで、早くやっておくんなはれ!」。闘うのも辛いが、待つのも辛い。これも私は経験ずみではあるが、待つ方の身はよりくたびれる。
08年07月05日
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